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【その建売、買う前に確認してください!】省エネ性能説明の義務制度とは?
SDGsなどの言葉を耳にすることが多くなったと思いますが、2050年のカーボンニュートラルに向けて、住宅業界の省エネ化は今後加速していくものと考えられます。
これから住宅取得を検討されている方にとって、省エネ性は切り離せない内容になりますので、必ず確認するようにしてください。
さて、2021年4月から住宅の省エネ性能の説明が義務化されていますが、皆さまはご存じでしょうか?
少し前の話題になってしまうのですが、この制度についてご存じない方が非常に多いと感じており、改めてご紹介できればと思います。
住宅の省エネ性能説明の義務制度とは?
省エネ住宅を示す2つの性能
●外皮基準:屋根・外壁・窓などの断熱性能に関する基準。屋根や壁・窓の断熱性能を高めることで、住まいの熱を快適にコントロールできるようになります。
●一次エネルギー消費量基準:暖冷房、換気、給湯、照明など住宅で使うエネルギー消費量に関する基準。高効率のエアコンや給湯器、LED照明などを採用することにより、住まいのエネルギーを賢く使うことができます。
これらの基準を満たしているかどうか、この説明は『建築士』から『建築主』に対して、以下の内容について書面で説明を行うことが義務づけられています。
①省エネ基準への適否
②(省エネ基準に適合しない場合)省エネ性能確保のための措置
⇒つまり「省エネ基準に適合しているか?適合していなくても建てられるけれど、お家の〇〇をグレードアップしたら省エネ基準を満たしますよ」ということを説明するのです。
※現状では省エネ基準を満たす「努力義務」となっています※
ここでまず知っていただきたいのが『説明義務』であって基準への「適合義務」ではないことです。すなわち、省エネ基準を満たさなくても家は建てられるのです。
省エネ住宅のメリットとは?
省エネ基準があるということには理由があります。
●環境にも家計にも優しい:省エネ性が高まることで環境への配慮はさることながら、光熱費が下がり家計にも優しい家づくりとなります。
●毎日の健康な暮らしを:「冷えは万病のもと」とよく言いますが、暖かい家は、ヒートショックや高血圧症などの防止につながります。
●一年中快適な空間に:家の中どこでも温度が均一に保たれるため、快適に過ごすことができます。
↓↓国土交通省のリーフレットをご参照ください↓↓
「高気密高断熱」などの省エネ住宅を示す言葉は広く使われるようになりました。
しかし、このようにメリットも多い省エネ住宅ですが、最低限必要とされている基準を満たさなくても家を建てることができるというのは事実は意外ではないでしょうか?
抜け道が多い「説明義務制度」
「説明が義務化されていれば、ほとんど適合義務化ではないの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
だって「お客様の家は省エネ性能を満たしていないため、窓を〇〇にグレードアップしなければいけません」…と説明されても、そんな家を買う気にはなりませんよね。
では、おさらいですが…この説明制度は「建築士は、建築主に対して省エネ基準への適合性等について書面を交付して説明すること」が義務付けられています。
建築主は家を建てる人です。注文住宅の場合、お客様が建築主にあたります。しかし建売を購入する場合、お客様は「買主」であって建築主ではありません。
つまり建売を購入する場合、お客様に対して省エネ基準について説明する必要はないのです。
このように抜け道がある説明義務制度ですが、建売を購入しようとされている方も、この省エネ基準については必ず確認するようにしましょう。
カーボンニュートラルに向けた、省エネ住宅のロードマップ
最後になりましたが、今実施されている説明義務制度は通過点でしかありません。
●2025年度 すべての住宅に省エネ基準の適合義務化
●2030年度 遅くとも2030年までに省エネ基準をZEH基準(※)の水準の省エネ性能に引上げ・適合義務化
●2050年度 ストック平均でZEH基準の水準の省エネ性能が確保され、導入が合理的な住宅・建築物において太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入が一般的となること。
このように2050年のカーボンニュートラルに向けて、住宅の省エネルギー化も進んでいくと考えられます。
これらのことを知らずに何千万円も払って家を買うのって怖いですよね。気付いた時に省エネ基準も満たしていない”低性能住宅”だと後悔しても遅いです。
そうならないためにも、住宅購入の前には必ず勉強してから買うようにしてください。
※ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)については、また詳しくお話させていただければと思います。